雑記

長くなりそうな話を投げています

LOOSER見てきました

初演のTEAM NACSさんのはDVDで結構前に見てます。NACSさん自体が好きで現場は3回くらいですが円盤やビューイング等何かしらでほぼ全公演見てます。

で、今回のLOOSERですが一言で言うととても面白かったです。ここ1年で見た舞台の中でも屈指の満足度で、何より見終わった後興奮して早く誰かに伝えてえ!!!!!ってなりました。

 

以下ネタバレ全開感想文です。

 

あらすじは平凡な現代の30男が謎の男から貰ったあやしげな薬を使い幕末時代にタイムトリップしてしまい、そこで新撰組山南敬助として芹沢鴨暗殺事件に巻き込まれていくのが前半、後半は再び時代を遡り今度は長州藩吉田稔磨として池田屋事件を迎える。 

 

主人公の立場や物語の主観が前半後半で反転するわけなんだけど(後半は細かく反転して混在するからすごくざっくりとですが)、そこに加えて5人の役者が全員新撰組と維新志士側両方を演じていてそれも反転する。役者陣はカツラも使わずリバーシブルになっている羽織を裏返すことで役を切り替える。これが終盤の物語のトリックとしても使用されてるのが舞台ならではで良いですよね。

そんなシステムなので役者さんは本当に大変だと思う。30秒前までは新撰組として長州側に切りかかっていたのに今度は長州側として新撰組の刀を受けるんだから。不思議と頭が混乱しないのは役者陣の実力と努力だと思うので感服です。

 

登場人物と今回の役者陣と初演時の役者陣の年齢が近いわけなんですがやはりこの年齢だから分かること、できること、というのは絶対にあって、多分色んなことを考えたり迷う年齢だと思うんですよ30歳って。加えて役者として脂が乗ってきてキラキラからギラギラに変わるあたりの年代で、そういう熱さとナイーブさが共存する青春舞台でした。昨年夏に20代中~30代頭くらいの青年たち6人がメインを務めた「宝塚BOYS」を見た時もその年代の人達だからこそ滲み出る空気、登場人物と役者本人どちらからも青春を感じて今この瞬間の彼らを見れて良かったなあと感じたんだけどLOOSERもそれ。

再演発表時に賛否両論あったけれど、今のNACSには”あのLOOSER”は絶対出来ないんですよ。全員あの頃より上手くなって良い役者になっているからこそあの当時の粗さやギラギラ感は出ない。今回他の方たちでのLOOSERを見ることで作品自体の持つ魅力を改めて感じたので、できれば今後もその時代その時代の30代の俳優さんたちで演じ続けてほしいなあと思います。

あとNACSさん以外で演じられることで改めて森崎さんの書く物語は出てくる人物に対してあたたかさや優しさを感じて好きだなあとしみじみしました。弱い人やダメな人に対する目線が優しいんだよなあ。シゲが土方たちを止めようとした言葉は自分の弱さをさらけ出す言葉で決して立派ではないんだけども等身大でひたむきだから多くの「何物にもなれない」私達の胸を打つし、自分の時代でちゃんと一歩を踏み出してるのは希望なんだよなあ。物語の最後を引き取るのが鉄之助なのも良いですよね。土方の最後を運んで歴史に残した人だから。

 

で、かぶさんは初演で安田さんが演じた芹沢鴨と古高俊太郎をメインで演じたわけですが、いや正直配役発表された時はめっっっっちゃ不安で。だってあの鴨だぞ!?と。ヤスケンさんの中でも屈指のバケモノキャラだった鴨だぞと。全体に関しては開始5分くらいで「あ、これは初演と比べる必要全くないな」と不思議な安心感があったんだけど鴨に関しては死ぬまで緊張して見てました。いや、でも良かったです。安田さんの鴨のような鈍器で頭をぶん殴ってくるような壮絶さではなく地続きの人間臭さがあってこれはこれで切なくてインパクトがある良い鴨でした。プレッシャーはあったけどあの5人の中でかぶさんで見たいのは鴨だったし本当にありがたい。あと思いのほか古高が良かったなあ。私はかぶさんのナイーブな感じの演技が好きなのかもしれない。

 

しかしほぼ初演通りの内容なので沖田役が普通にイケメンになっちゃったけどどうするんだろうと思ってたら「昔魚顔の役者が演じたんだろう」って言っててそう来たかとwでも魚の変装(?)はするし通じるというw他にもNACSさんたちを知ってるとニヤリとできるとこあるので初演見てない方は是非見てほしいな~

 

そんなわけでとても面白かったですLOOSER。見終わって気持ちが前向きになるお話は良いですね。

この日はたまたま昼にリューンという若者がキラキラしている舞台を見たばかりだったのでその違いも良かったな。

ご本人たちの手を離れることで見える良さに気付けるのも幸せだなあと思うし、繋がって、残っていくことは嬉しいことだよなと思いました。本当に良い一日でした。